フローリングの表面は光沢があり美しいが、この美しさは塗装によるものが大きい。
時間が経過すると徐々に光沢が失われ、塗装の剥がれが目立ってくると美観が失われてしまうだろう。
表面塗装の剥がれは、塗装方法によっては自分でも塗り替えができる場合がある。
今回は、フローリング塗装の種類や種類別の補修や塗り替え方法などを解説する。
表面塗装のはがれはフローリングの劣化を早める!
フローリングは無垢材や集成材を使った無垢フローリングと合板・化粧単板を貼り合わせた複合フローリングに大別されるが、どちらにも塗装が施されている(無塗装で使用されることはほとんどない)。
塗装の役割はフローリングの表面を傷や汚れ・水分などから保護することにある。
しかし塗装の種類により剥がれが生じるまでの期間に差があるが、いずれは塗装が劣化して塗り替えが必要だ。
フローリングの表面塗装が剥がれているということは、フローリングの保護機能が失われているということだ。
ご存じのように木質系床材は水に弱いため、剥がれた部分に水分などをこぼしてしまうと、水分が滲み込みフローリングの劣化を早め寿命を縮めてしまうことにつながる。
フローリングの剥がれが目立ち始めたら早めの補修や塗り替えをおすすめする。
フローリング塗装の種類
フローリングの塗装は、大きく分けてオイル塗装や蜜蠟ワックスなどの浸透系塗装と、ウレタン塗装やUV塗装などのコーティング系(塗膜で表面を覆うこと)塗装がある。
また、塗料の素材別では天然成分を主原料とした塗料(自然塗装)と石油を主成分とした合成樹脂塗料に分けられる。
それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを紹介する。
オイル塗装(無垢材)
オイル塗装とは、無垢フローリングの仕上げに使用する塗装方法で、亜麻仁油や荏胡麻油・桐油・ヒマワリ油などの植物油を原料にしたオイルを使用し、無垢フローリングに浸透させることで木材を保護する。
オイル塗装の特徴は、木の表情を活かすことができ木の質感を損なうことなくナチュラルな仕上がりになることだ。塗装後の仕上がりはしっとりとした濡れ色になるが、フローリングの保護力という面ではコーティング系塗装よりも劣る。
ワックス塗装
ワックスには多くの種類があり、無垢フローリングに使用されるワックスでは、蜜蠟(ミツバチの巣から抽出する動物性)ワックスや、植物性の蝋を使用してつくられるワックス、100%蝋の固形タイプ、オイルなどを配合して扱いやすくした液体やエマルジョンタイプなどがある。
これらのワックス塗装の特徴もオイル塗装と同様に、フロー―リング表面に硬い塗膜をつくらないため、木材そのものの質感が活かされる。
ワックス塗装はオイル塗装のように濡れ色にはならず無塗装に近い仕上がりだが、オイル塗装とワックス塗装では保護力の面では大差はない。
また、複合フローリングなどの塗装コーティング済みフローリングに使用するワックスには、水性ワックス(蝋が主成分)や樹脂系ワックス(合成樹脂が主成分)がある。
水性ワックスは、塗った後に乾拭きが必要で乾拭きによって光沢が増すが、耐久性が劣るため、頻繁に塗り直しが必要になることがデメリットといえるだろう。
メリットは剥離が簡単で塗布が容易なこと。しかし現在はあまり使用されていない。
樹脂系ワックスは、ウレタン樹脂やアクリル樹脂などの合成樹脂を主成分とするワックスで、現在のワックスの主流となっている。
樹脂ワックスの特徴は、塗膜が硬く光沢があり、水分や洗剤に強く耐摩耗性があることだ。
デメリットは施工が難しいこと。また、施工前には古いワックスの塗膜を剥離することが必要になる。
【ウレタン樹脂ワックスの特徴】
・柔軟性のある厚い塗膜が形成される。
・耐久性、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性に優れる。
・フローリングの保護効果は5年程度。
【アクリル樹脂ワックスの特徴】
・密着性がよく、透明性のある美しい塗膜が形成される。
・柔軟性はないが剥離作業は容易。
・フローリングの保護効果は1年程度。
【ウレタン・アクリル混合樹脂ワックスの特徴】
・ウレタン樹脂とアクリル樹脂の特長を活かしたワックス
・現在のワックスの主流になっている。
・柔軟性と透明感を兼ね備えた仕上がりになる。
・ウレタン樹脂とアクリル樹脂配合の比率によって特徴が異なる。
ウレタン塗装
ウレタン塗装は、ウレタン樹脂を主成分とした塗料を用いてフローリング表面に強固な塗膜を形成させることで、フローリングを傷や汚れから保護する。
ウレタン塗装のメリットは、耐摩耗性や耐久性に優れているため、長期に渡りフローリングの美観を保つことだ。
しかしながら、無垢フローリングに使用する場合は、木材の持つ特性(質感や調質性など)が失われてしまうことがデメリットになる。
UV塗装
近年のほとんどの複合フローリングにはUV塗装が施されている。
UV塗装のUVとは、Ultra Violet Rays(紫外線)の略で、紫外線照射によって瞬時に塗膜が硬化する特殊な塗料を使用した塗装方法のこと。
特徴は、鏡面のような仕上がりと塗膜の強度が高く、耐摩耗性・耐薬品性・耐熱性・耐溶剤性などにも優れている。
デメリットは現場では施工ができないこと(工場で施工)や、機材や特殊塗料を使用するため商品が割高になること、傷は付きにくいが万が一付いた傷は、塗り直しができないことなどが挙げられる。
自分でできる塗装方法と塗料
フローリングの種類や塗装方法によっては、自分で塗り替えが可能な場合もある。
自分でできる塗装方法の手順を紹介する。
オスモカラーを使ってオイル塗装(無垢フローリング)
オスモカラーは、ドイツのオスモ社の製品(自然塗料)で、ヒマワリ油・アザミ油・大豆油などの植物油と植物性ワックスが原料になっている。
フローリン用には2~3分ツヤタイプ・つや消しタイプのクリアーと着色タイプがある。
【塗装の手順】
①フローリング表面に凹みがある場合は、凹み箇所に水分を含ませアイロンを使用して膨らませておく。
②塗装面の汚れを固く絞った雑巾できれいに拭く。
③傷や取れない汚れは80番のサンドペーパーを使用して削る。
④削った粉や埃は掃除機で吸い取る。
➄塗料が他に付かないようにマスキングテープなどで養生する。
⑥刷毛を使用してフローリングの木目に沿って薄く塗っていく(厚塗りにならないように注意)。
⑦乾燥させる(乾燥の早いタイプで3~4時間/20℃)。
蜜蠟ワックスを使用してワックス塗装(無垢フローリング)
「未晒し蜜蠟ワックス」は、国産の未晒し蜜蠟と荏胡麻油を原料にしてつくられた自然塗料。人の身体にも優しいため、小さな子供のいる家庭やアレルギーのある人にはおすすめの塗料だ。
【塗装の手順】
①フローリングの埃や汚れを拭き取る。
②蜜蠟ワックスをワックス用のスポンジに付ける。
③フローリングに薄く均一に塗布する(きれいに塗るコツは薄く塗りよく伸ばす。1回塗り)。
④乾いた布で拭き上げる。
➄乾燥させる(半日~1日程度)
※蜜蠟ワックスは化学塗装したフローリングには使用不可。
樹脂ワックスを使用してワックス塗装(複合フローリング)
リンレイの「ハイプロテクトワックス」は、アクリル樹脂とウレタン樹脂を成分とした水性混合樹脂ワックスだ。複合フローリングなどの樹脂塗装されたフローリングの塗り替えに使用できる。
【塗装の手順】
①フローリング表面に付着した汚れや油などをフローリング専用洗剤で拭き取る。
②水拭きをして洗剤成分をよく拭き取る。
③フローリングを乾燥させる。
④フローリング1㎡に対して10ml程度(直径5cmくらい)ワックスを垂らし、布で撫でるように薄く塗り広げる(厚塗りにならないように注意)。
➄乾燥させる(30分程度、乾拭きは不要)。
※初めてワックスを塗る場合は乾燥後に再度ワックスを塗布する。また、使用する際は換気を行うこと、フローリングによって密着しないものがあるため、目立たない箇所で試し塗りが必要。
ビアンコートを使ってコーティング(複合フローリング)
ビアンコ―トBは1液常温硬化型ハードコーティング剤で、ナノコンポジット技術によってガラス塗膜を形成してフローリングを保護する。
ビアンコ―トBは艶有り・艶なし・UV対策有り・UV対策なしなどの種類がある。
【塗装の手順】
①フローリングに傷や凹みがある場合、予め補修をする。
②フローリング表面の汚れを洗浄してきれいに落とす。
③古いワックスは剥離剤を使用して、下地を傷めないように除去する。
④十分に乾燥させる(水を多く使用した場合は中1日以上あけて乾燥)。
➄施工直前に埃などを掃除機で取り除く。
⑥「ビアンコ―トB簡単施工セット」の付属のトレイにビアンコ―トBを入れ、付属のスポンジに含ませ、液だれしないようにトレイコーナーで切る。
⑦巾木回りはビアンコ―トBを含ませたスポンジを滑らせて塗布する(端部は特に薬剤が溜まりやすいため均一に塗るように注意)
⑧全体に塗布する際は付属のモップを使用する(使用する前はモップのむだ毛を処理するために手でしっかり擦っておく)。
⑨モップにビアンコ―トBを含ませ、余分な液はトレイのコーナーで左右均等に絞る。
⑩ビアンコ―トBを含ませたモップで水平にゆっくり均一に塗布する。
⑪最後に塗りムラを防ぐためにモップのエッジで伸ばしていく(持っているモップに角度をつけるように持つ)。
⑫乾燥させる(軽歩行ができるまでは3~4時間/25℃、湿度50%)
⑬完全硬化(3日程度かかる)するまでは水がかからないように注意する。
床用ニスの塗り替え
ニスとは、光沢があり透明な仕上がりになる塗料のこと。木目を生かしながらも木材を保護する目的で使用さる。
アサヒペンの「水性床用ニス」は塗料の分類では、水性アクリルウレタンエマルジョン樹脂塗料になる。
【塗装の手順】
①フローリング表面のワックスを取り除く(剥離剤などを使用)
②サンドペーパー(♯120~240)でフローリング全体を軽く磨き、との粉で目止めを行う。
③サンドペーパーで出た粉や埃・ゴミなどをきれいに除去する
④コテバケやハケを利用して、ニスを均一に塗っていく
➄十分に乾燥させてから、2回目を塗る(塗り重ね時間の目安:夏季は2時間以上、冬季は6時間以上おく)。
塗り替えをおすすめできないフローリングもある
フローリングは、無垢フローリング・複合フローリングに大別されるが、複合フローリングの表面化粧板(木材をスライスした単板を使用)の代わりに、木目調などを印刷したオレフィンシート(プラスチック樹脂の一種)をフローリング表面に貼ったシートフローリングがある。
シートフローリングは、安価に生産できることやデザイン・柄が豊富なこと、ワックスフリーでメンテナンスが簡単なことなどが人気で広く採用されるようになっている。
シートフローリングがワックス不要な理由の一つは、表面が平滑なためワックスが密着しにくいためである。
また、ワックスを塗ることでトラブルが発生することもある。さらにシートが傷ついてしまうと、修復ができないためフローリング自体を貼り替えるしかなくなる。
フローリングの塗装を考慮した際は、フローリングの種類を見極めた上で検討することをおすすめする。
DIYでフローリングにペンキ塗りは可能?
家庭では、「ペンキ塗りをする」という言葉が使われるが、ペンキとは何を指すのかご存じだろうか?
塗料と同じ意味で使用されることが多いが、厳密にいえば違いがある。
ペンキとは、オイルペイント(OP)のことだ。
オイルペイントとは、ボイル油(植物性油)に顔料を加えてつくられる最も古いタイプの塗料になる。
オイルペイントの特徴は、植物性油が原料のため家庭でも安心して使用できることや、塗りやすく、一度塗りでも塗膜に厚みをもたせることが可能なことだ。
しかし、乾燥時間が長いことや耐候性・耐久性に劣るため近年はあまり使用されていない。
現在、家庭用塗料として多く市販されている合成樹脂調合ペイント(SOP)は、アルキド樹脂に油成分を混ぜてつくる長油性アルキド樹脂ワニスに顔料を混ぜてつくられた塗料で、合成樹脂塗料(ウレタン塗料など)の科学的に生成した樹脂でつくられる塗料とは別の物になる。
合成樹脂調合ペイントの特徴は、オイルペイントに比較して光沢があり乾燥が早いことだ。
耐候性や耐久性は合成樹脂塗料に比較してかなり劣る。2~3年程度でチョーキングが起き、割れや剥離が発生するため2~3年ごとに塗り替えが必要になる。
少し脱線したが、結論からいうと上記のような家庭用ペンキを使用してフローリングの塗り替えは可能だ。しかしそのためには、しっかりした下地調整が必要になる。
フローリングの汚れや油分・ワックスやニスなどの古い塗膜は全て除去しなければならない。
フローリングに施されている塗膜によっては、普通のケレンではすぐにペンキが剥がれてしまうこともあるため、剥離剤や研磨機(サンダー)が必要になる。
特にフローリングの面積が大きい場合は、かなり難易度が高く手間のかかる作業になることを覚悟しなければならない。
また、着色によって元のフローリングのイメージと全く変わってしまうだろう。
何日もかけてペンキ塗りが完成したが、チープ感に満足できず結局フローリング自体を張り替えてしまったという人もいる。
フローリングのペンキ塗りは、余程DIYに自信のある人以外にはあまりおすすめできないが、どうしてもやってみたい人は、まず小さなスペースから始めてみることが無難だ。
フローリンングの塗装はどこへ依頼する?
フローリングの塗装は、かなり大変な作業であることがおわかりいただけたと思う。
比較的簡単な無垢フローリングの自然塗装以外は、古いワックスの剥離作業などに手間や時間がかかるし、技術も必要になる。
「フローリング塗装にかける時間や技術がない」「とても自分ではできそうもない」という人は専門業者に依頼することをおすすめする。
しかし、フローリングの塗装はいったいどこへ依頼したらいいのか迷う人もいるだろう。
依頼先は、フローリングの状態と塗装方法によって変わってくる。
概ね、以下のような業者に依頼することになる。
・オイル塗装やワックス塗装の場合は、クリーニング業者。
・コーティングをする場合はフロアコーティング業者。
・フローリングの全面塗装(ウレタン塗装)をする場合は、塗装業者。
・部分的な張り替えやフローリングのカラー調整(部分的な塗装)はリペア業者。
以上で解説したように、フローリングにはさまざまな塗装方法があり、フローリングの種類によって塗装方法も大きく異なってくる。
フローリングを自分で塗り替える場合は、自宅のフローリングの種類や既に施されている塗装方法をしっかり確認する必要がある。
また、専門業者に依頼する際にも部分的か全体か、また塗装方法によって依頼先が変わってくる。
全面塗装イメージは出来るが、部分的な塗り替えが必要となる場合というのはどういう時か?イメージしにくい方は下記画像をご覧いただきたい、画像のように部分的損傷がある場合や、部分的なコーティング剥がれなどの補修及び塗装が必要となる時である。
この場合、リペア(補修)専門の業者であれば、必要最低限の範囲のみでの補修・塗装合わせを行ってくれるので、経済的な選択肢となる。下記が補修後の様子だ。
自分ではどこに依頼すべきかわからないという人は、まずは内装補修全般のプロであるリペア業者に相談してみることをおすすめする。塗装方法やどこに依頼したらいいかなどの提案もしてもらえるだろう。
東住リペアのトップリペア職人。フローリング、壁はもちろんのこと、扉の穴やサッシなどの金属類、高級スピーカーなども補修可能な関西でNO.1のスキルを持つ男。無料見積もりしますのでお気軽にお申し込み下さい。無料見積もりのご依頼はこちらより。