フローリングなど木質系床材は、割れや欠け・ひび割れなどが発生することがある。
フローリングの割れなどは見た目が悪いだけでなく、放置することで益々割れが広がり、さまざまな不具合が発生するため、できるだけ早く補修することが望ましい。
今回はフローリングの割れ・欠け・ひび割れなどの原因と補修方法や割れなどを発生させないための注意点・メンテナンスの方法などを徹底解説する。
フローリングの割れ・欠けを放置してはいけない理由
フローリングの割れを放置すると、割れた部分に埃や砂などが入り込んだり負荷がかかったりすることによって益々損傷が広がりやすくなる。
また、水回りなどの水がかかりやすく湿気の多い場所では、フローリングの割れ目から飛び散って入ってしまった水分が溜まり、フローリングの中でカビの発生や腐食につながる。長期間放置した場合、フローリングだけの腐食にとどまらず下地や根太にまで腐食が及び、床が抜けてしまう可能性もある。
また、腐食した木材はシロアリの大好物だ。シロアリを発生させてしまうと、構造体にまで被害が及び家屋が傾くといった最悪の事態になることも想定できる。たかがフローリングの割れと軽く考えないで、二次被害につながることを認識しておこう。
さらに、損傷が広がるほど修復にかかる手間やコストが増大するため、早めの対策が必要だ。
フローリングが割れ・欠けてしまう原因は4つ
フローリングの割れの原因は主に以下の4つである。
荷重や摩擦、ササクレから
フローリングには、ズレなどを防ぐために長手方向の2辺の端がサネ(実)と呼ばれる凹凸の構造になっている。サネは凹状を雌サネ、凸状を雄サネと呼び、施工の際は雌サネに雄サネをはめ込み固定する。この実継ぎ部分に根太がない場合や空間がある場合は、荷重がかかると雌サネが割れてしまうことがある。
また、重量物によって長期間部分的に荷重がかかると、フローリングが耐えられなくなり、割れが発生することがある。
さらに、家具を移動する際に擦って表面が剥がれたり、キャスターによる摩擦を繰り返したり粘着力の強いテープを貼って剥がしたりするとフローリング表面がテープと一緒に剥がれササクレになることがある。フローリング表面の剥がれやササクレが酷くなると表面のひび割れや欠けにつながることがあるため注意したい。
水分による変形から
フローリングは、木材をベースとしてつくられている(無垢フローリングは木材そのもの)。木材はもともと水分を多く含有するものであり、それを乾燥させることで強度や寸法安定性が向上し建材として使用可能になる。
水分を多く含んでいたということは空隙・間隙の多い素材だということだ。そのため水に濡れると水分を吸収しやすく水分を含むと膨張し、変形や割れにつながる。
また、無垢フローリングの場合は、製品になるまでの乾燥不足によって施工後に割れが発生することがある。造作材に使用する無垢材の含水率は15%以下とIAS(日本農林規格)で規定されている。
しかしながら、全てのフローリングの含水率を測定するには、手間やコストの問題もあり、十分な乾燥材が使用されているとは限らないのが現実である。乾燥が不十分で安定していない無垢材が施工後に暖房などの影響による急激な乾燥で変形し割れることが稀に発生する。
さらに、無垢フローリングは施工にも十分な注意を払う必要がある。床下に湿気が多い場所での施工は、根太と捨て貼り合板の間に防湿シートを敷き込む。根太なしの場合は24mm以上の耐水合板を張り、大引と耐水合板の下に防湿シートを敷き込むなどの対策が必要だ。
フローリング貼り込みの際は、膨張時の反りを防ぐためサネは強く叩き込まず、1mm程度の隙間をとり、サネ部分に接着剤が付かないように注意しなければならない。そのため、施工不良と水分(湿気)が原因となって無垢フローリングの変形や割れにつながることもある。
暖房器具や日光の影響
木質系床材は湿気を含むと膨張し乾燥すると収縮する。複合フローリングは寸法安定性を強化したつくりにしているが、木質系に変わりなく多少の伸縮がある。無垢フローリングの場合は、伸縮度が大きくなるため変形しやすく割れにつながる。
暖房器具による熱や日光の影響によってフローリングが過乾燥すると、隙間が広がったり割れやひび割れが発生したりする。また、複合フローリングの場合は、表面の塗膜が紫外線によって分解されるため色褪せや表面塗膜のひび割れを発生させる。
経年劣化
フローリングは直接的な原因がなくても経年によって劣化する。四季のある日本では気温や湿度の変化が激しく、経年劣化を早める要因ともなっている。
複合フローリングの場合は、表面塗装の剥がれやひび割れが始まり、表面化粧材を貼り合わせている接着剤が劣化することで、表面化粧材そのものが剥がれていく。無垢フローリングの場合は、適切な時期にオイルやワックスを塗布することで経年劣化を抑制することができる。
複合フローリングの耐用年数は15年~20年、無垢フローリングの場合は30年~50年といわれている。
フローリングの割れ・欠けをDIYで補修する方法
軽微な傷や割れが発生した場合の自分でできる補修方法を以下に紹介する。
複合フローリングは専用キットで補修!
■カラースティックで補修する手順
①フローリングの割れや傷部分の埃や汚れなどをきれいに除去する。
②セットで入っている電気コテを5分ほど温めておく。
③フローリングの色に合ったカラースティックを選び、温めたコテのヘラ部分で溶かす。
④コテを傾け、フローリングの傷や割れ部分に盛り上がる程度まで多めに流し込む。
⑤補修箇所とその周辺にカラースティック耐熱保護剤を多めに塗る(耐熱保護剤は余分なスティックを取り除くためのもの。塗りが少ない場合はスティックがベトつき取れなくなる。また次の工程で使用するコテの熱で焦げが発生しない為の保護剤でもあるので、コテが当たりそうな手前や周囲に多めに塗る)。
⑥補修箇所をコテで少しずつ溶かしながら平滑にする。
⑦付属の木目書きペンで、周囲と合わせた模様を描く
■木工パテで補修する手順
① 割れや傷部分の埃や汚れを取り除く。
② 割れ目部分にヘラなどを使用して押し込むように、木工パテを充填する(木工パテは乾燥すると痩せるため、表面が盛り上がるくらい多めに塗る)。
③ 深い傷や割れに充填したパテは乾きにくいため一日程度置き、再度沈んだ部部分にパテを塗り重ねかさ上げする。
④ 完全に硬化した後、仕上げ用サンドペーパー(100番~150番)で表面を平滑にする。
⑤ フローリングの色に合った塗装やカラーワックスで仕上げる。
■エポキシパテで補修する手順
①補修する箇所の埃や汚れを取り除き、よく乾燥させた後サンドペーパーをかけて表面をザラザラにする
②付属されている手袋を付けプラケースからエポキシパテを取り出す
③剥離フィルムを剥がし、必要量を切り取る
④色むらがなくなるまで練り合わせる
⑤混合したら4分以内に補修部分に充填する
⑥表面を平滑にして、カラーニスや塗装で仕上げる
※木工パテとエポキシパテの違いは、硬化するまでの時間(エポキシパテは硬化が早い)と、硬さにある。木工パテは柔らかいため細かい割れにも充填しやすいが、エポキシパテは硬いため細かい割れには充填しにくい。また、エポキシパテは乾燥後痩せにくい(目減りしにくい)ことも特徴。
上記の他にも、表面のひび割れなどに貼るだけで簡単に補修できるフローリングテープや小さな傷に対応できるマニュキュアタイプの補修材なども市販されているため、割れやひび割れ、欠けの程度に合わせて補修キッドを選ぶようにしたい。
無垢フローリングは瞬間接着剤と木くずで補修
無垢フローリングの割れは「目割れ」と呼ばれる木目に沿って裂けるように割れることが多い。無垢フローリングの場合も、複合フローリングと同じで木工パテをクラック(割れ目)に充填することでも補修可能だが、ここでは瞬間接着材と木くずによる簡単補修の方法を紹介する。
①フローリング割れ目の埃などを取り除く
②割れた箇所に瞬間接着剤(液状のものが良い)を流し込む(クラックの広がりを防止する)
③瞬間接着剤が乾かないうちに、割れ目の周囲をサンドペーパー(♯80)で擦り、出てきた木くずを瞬間接着剤と混ぜながら割れ目を埋めていく接着剤と木くずが割れ目にしっかり埋まったら再びサンドペーパー(♯240)で平滑にする
※この方法は無垢フローリングのオイル仕上げの場合に限る。
フローリングの割れ補修を業者に依頼する際の注意点
フローリングの割れが深い場合や損傷範囲が広い場合は、やはりDIYでは無理があるだろう。DIYでは応急処置程度の補修になってしまう上、補修部分が返って目立ってしまったという失敗例も多い。
リペア専門業者による補修は「さすがプロ」と思える仕上がりが期待できるだろう。しかし専門業者に依頼する際は以下のようなポイントに注意しよう。
費用相場を知っておこう
フローリングなどの補修工事は、フローリングの損傷や劣化の状態・補修範囲・補修の難易度などによって異なるが、事前にある程度の費用相場を知っておくことが大切だ。
リペア費用の設定は業者によって異なるが、時間制で設定している業者や1㎡の費用で設定している業者もある。
費用相場は2時間まで15,000円~20,000円程度。1㎡の費用は10,000円程度の業者が多い。
まずは見積もりを
補修費用はなるべく低コストで押さえたいものだが、フローリングだけの補修をどこに依頼したらいいのかわからないという人も多いだろう。また、見積もりを出してもらった業者に依頼しなければならなくなるのでは…と考えると少々躊躇いもあるだろう。
そんな人におすすめなのが、当サイトの無料見積もりサービスだ。気になっているフローリングの修復も、まずは見積もりを出してもらわないと始まらない。気軽に無料見積もりサービスを利用してもらいたい。
修復プロによる驚きの技がこちら!
リペア専門業者に依頼しても、どのような仕上がりになるか不安だという人もいるだろう。以下にプロによる修復事例を紹介する。依頼の際は参考にしてもらいたい。
中央から右部分に表面化粧板の剥がれや凹みが目立つ。これはかなり大きな外的要因(キャスターなどによる摩擦や圧力)を受けたと思われる。
修復後の画像では、中央部の凹みや剥がれはまったく見られない。どこに損傷があったのかもわからない程きれいに修復されている。
中央部にかなり長い割れがある。
修復後はご覧の通りだ。まるで貼り替えたように修復されている。
湿気が原因と思われる表面化粧材の剥がれや浮きが酷い。
剥がれや浮きをきれいに修復。
こちらも、水回りの湿気の多い箇所。これはかなり酷い状態だった為、部分張替えにて修復を行う。
修復後は、まるで何事もなかったかのような様子。既存部分と張替え部分のギャップも感じない、さすがにプロの技といえるだろう。
フローリングの割れやひび割れを防ぐための日常の注意点
フローリングの割れやひび割れを防ぎ、長く美しい状態をキープするためには、日常の生活の中で床への配慮が大切だ。フローリングの割れやひび割れを防ぐために注意したいポイントを以下に紹介する。
・直射日光がフローリングに当たるときはカーテンやブラインドで直射日光を避け、カーテンなどで隠しきれない窓際などは保護カーペットなどを敷く。
・フローリングに水などをこぼした場合はすぐに拭き取る。
・観葉植物を置く場合は、必ず受け皿を用意する。
・急な雨による窓や縁側からの雨の吹き込みに注意する。
・結露による水滴にも注意が必要(結露はすぐに拭き取る、結露防止対策をするなど)。
・キッチンや洗面などの水回りの水が飛び散りやすい場所にはマットを敷いて保護する。
・ホットカーペット使用の際は、直接熱が伝わらないようホットカーペットとフローリングの間に断熱シート(アルミ製)などを敷く。
・温風ヒーターやストーブを使用の際は、フローリングに直接熱や温風が当たらないように温風ヒーターやストーブの下に断熱性のあるシートやマットを敷く。
・エアコン暖房を長時間使用すると過乾燥になり、継ぎ目の隙間が広がったりフローリングが割れやすくなったりする。加湿器などで適度な湿気を補うよう配慮が必要(加湿器の置き場所は、フローリングに湿気が直接当たらない高い位置におくなど注意が必要)。
・ピアノや冷蔵庫などの重量物を置く場合は、脚部に板などの緩衝材を敷き、重量を分散させる(移動させる際は引きずらないように注意する)。
・湿気の多い部屋では適切に換気を行う。
・ペットがいる場合は、排せつ物がフローリングにかからないように注意する。またペットのツメでフローリング表面が傷つきやすいため、ペットのいる部屋はマットなど敷いて保護する。
フローリングの割れやひび割れ防止には適切なメンテナンスも必要
フローリングなど木質系床材は、適切なメンテナンスが必要になる。しかし、フローリングの種類によってメンテナンスの方法は異なる。
近年はメンテナンスフリーのフローリングも販売されており、ワックスなどのメンテナンスが不要な場合もある。
ここでは、一般的な複合フローリングと無垢フローリングのメンテナンス方法の紹介と、メンテナンスフリーなフローリングとはどういうものかを解説する。
複合フローリングのメンテナンス方法
一般的な複合フローリングは半年に1回程度のワックスメンテナンスを実施することが望ましい。以下にワックスメンテナンスの手順を紹介する。
①フローリング表面のゴミや埃などを掃除機できれいに取り除く。
②床用洗剤を水で希釈した液を雑巾に含ませ固く絞ってフローリングの表面の汚れを拭き取る。
③洗剤成分を固く絞った雑巾できれいに拭き取る(目地にも洗剤が残らないように注意)
④フローリングが完全に乾いたら、きれいな布にワックスを含ませ、木目に沿って薄く均一に塗布する(フローリングメーカー推奨のワックスを使用し、厚塗りにならないことや目地にワックスが溜まらないように注意する)。
⑤重ね塗りをする場合は、先に塗布したワックスが完全に乾いてから行う(ワックスが乾くまでは歩行禁止)。
※ワックスがけは、雨天など湿気の多い日や気温の低い(5℃以下)の日は避け、天気の良い日に窓を開けて実施しよう(風の強い日は注意、埃は塵などが付着しやすい)。
無垢フローリングのメンテナンス方法
無垢フローリングは、表面仕上げの方法によってメンテナンスの方法が異なる。ここでは、仕上げ方法別にメンテナンスの方法を紹介する。
■オイル仕上げ(自然塗装)のフローリング
オイル仕上げとは天然油脂などを無垢フローリング表面から内部に浸透させる仕上げ方法で、オイルによってフローリングが保護(乾燥するとササクレやひび割れが起きやすい)されしっとりとした表情になる。
日常の掃除は掃除機と乾拭きが基本だが、軽い汚れがある場合はお手入れ用ワックスクリーナーを希釈したものを布にとって拭き取る。
また、無垢フローリングのオイル仕上げは、定期的にオイルの塗り替えメンテナンスが必要になる。オイル塗り替えの手順は以下の通りだ。
①メーカーが使用している同じオイル(塗り替え用オイル)を用意する。
②フローリングのゴミや埃を掃除機で吸い取り、固く絞った雑巾で汚れを拭き取る。
③オイルを布に含ませ、フローリングを磨くように塗布する。
④きれいな布でフローリング表面のオイルを拭き取る(拭き取りをしなければフローリングのベタツキの原因になる)
※オイルの塗り替えは、最初の2年は年に1回、その後は2~3年に1回程度行う。
■ウレタン塗装仕上げのフローリング
無垢フローリングでも汚れや傷を防ぐために、表面にウレタン塗装をする場合がある。表面の質感は変わるが、ウレタン樹脂の薄い塗膜でコーティングされるため水をはじき汚れが付きにくい。日常の掃除は掃除機と乾拭きが基本(水をはじくが水拭きはおすすめできない)。フローリングの継ぎ目の隙間に入った埃なども、掃除機で対応できる。粘土質な物が入り込んだ場合は爪楊枝を利用しよう。
大掃除をする際は、固く絞った雑巾がけをする。落ちない汚れには水で希釈した中性洗剤を雑巾に含ませ固く絞って拭き取る。
ウレタン塗装やウレタンUV塗装などは基本的にワックスメンテナンスの必要はない。しかし、ウレタン塗装といっても半永久的に持つものではない。紫外線などの影響で塗膜が劣化した際は再塗装が必要になる。
メンテナンスフリーのフローリングとは?
近年は複合フローリングの一種で、メンテナンスフリーを謳ったさまざまなシートフローリングが市販されている。
シートフローリングはMDF(中質繊維版)などの基材に、化粧シート(紙やオレフィンシートに木目柄や石目柄を印刷したもの)が貼られているものだ。この化粧シートを強化するために特殊な加工(EB処理)が施されている。安価な上、メンテナンスの手間がかからないことで人気があるが、汚れや傷が付きにくいとはいっても、絶対に付かないということではない。
しかし、ワックスなどのメンテナンスは不要というよりもできないといった方が適切かもしれない(既にコーティングされているためワックスをはじく)。しかも木の粉を固めたようなMDFは水に弱く、少量の水分でも膨張する。安価である分耐用年数が短く、「劣化した場合は貼り替えてください」ということだと理解しておくことをおすすめする。
まとめ
一口にフローリングといっても、さまざまな種類がある。フローリングに割れやひび割れ、欠けを見つけたら早めの対応が必要だが、まずは自宅のフローリングがどんなフローリングであるかの確認が大切だ。
近年は、補修キットも多くの種類が出回っているため、フローリングの種類や損傷の程度によって最適な補修キットを選ぶようにしよう。
また業者に依頼する際は、損傷が軽い程、低コストできれいに修復できるため、酷くならないうちに思い切った対応をおすすめする。
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