フローリングの穴は、小さいと放置してしまいがちだが、そのままにしておくと、穴が大きくなったり、穴から水がしみ込んだりすると、フローリング自体をダメにしてしまう可能性がある。
大したことはないと安易に考えず、早めに対処することが問題を大きくしない早道だ。
今回、リペアの専門家がお伝えするフローリングの穴の補修方法や対策、場合によってはプロの手を借りてしっかり修繕する方法などをお伝えする。これで満足のいくフローリング補修をしていただけるだろう。
フローリングの穴を放置して起きる被害
フローリングは、日本の住宅に非常に一般的な床材だ。家族が過ごすリビングはもちろん、化粧室、キッチンなどにも幅広く使われている。最近では和室のないフローリングだけの住宅も多く見られるようになってきた。
木の床は自然な風合いで気持ちが良いし、現代のライフスタイルに向いているともいえるだろう。洗練された見た目の美しさはもちろんのこと、天然の木が持つ温かな風合いがあり、断熱性や遮音性にも優れ、掃除がしやすいのも特長だ。
ただ、天然の木でできているため、ちょっとしたことでキズや穴ができやすいのが、デメリットとも言える。
放置すると劣化する危険性がある
フローリングにできてしまった穴には知らないうちにゴミや埃、砂が溜まってしまうことがある。そしてそれらは時間の経過とともに、表の単板と中の基材の間に入り込んで接着剤が劣化してしまう。そうすると単板が剥がれやすくなってしまうのだ。
また、フローリングの深い穴の場合は、特にフローリング材を劣化させる要因となりやすい。
主にキッチンや脱衣所、窓際など日常的に水分がかかりやすい場所は、飛び散った水分がフローリングにできた穴から内部に侵入してしまい、時間とともにどんどん中を腐蝕していく可能性がある。
さらにペットを飼っている場合、小さな穴からペットの排泄物が染み込んでしまうこともある。こちらはアンモニアなどの成分が含まれているので、水分より始末が悪い。こうして水分がしみ込んでしまったフローリングは徐々に腐蝕し、やがて変色して、浮き上がってくるため剥がれの原因になりやすいのだ。
このように、フローリングの穴が原因で劣化が進む可能性は、ごく日常的な生活の中にあるといえる。
また、フローリングの穴には、虫食いによるものもある。この場合は、穴を放置すると、どんどん虫食いが広がってしまう恐れがある。
最悪は腐蝕し、修理が不可能な場合も
フローリングの穴が小さいからと、そのまま放置してしまうと、前で説明した通り、知らないうちに腐蝕が進む可能性が高い。そのままどんどん腐蝕してしまい、指でこすっただけでポロポロとフローリング表面の木がめくれてしまうような状態になると、補修そのものができないようになる場合も当然ある。
そうなると、最悪は全部のフローリング材を貼り替えるなど、リペアではなく大がかりなリフォーム工事が必要になることも考えられる。
そうならないためにも、フローリングの穴は早めに補修することが大事になる。
フローリングの特徴を知っておこう
フローリングは基本的に天然の木の素材を使っている。ただ、一口にフローリングといっても、素材にはさまざまなタイプがあるが、大きくは次の2つに分けられる。
合板の複合タイプと一枚板の無垢タイプの2種類
フローリングには、複合タイプと無垢タイプがある。それぞれの特徴は次の通りだ。
<複合フローリング>
合板の上に0.5〜1mm程度の厚さの木の板を重ねて貼ってつくられる。その上に表面をキズや擦れから守るようコーティングを施している。
<無垢フローリング>
無垢材、集成材を使ったもの。JASで規定されている。広葉樹、針葉樹、細かく破断された木材を貼り合わせた集成材など種類も豊富で、樹種によりさまざまな特徴がある。
主な素材を紹介する。
杉・・・日本を代表する木材。足への当たりが優しく、温かみがあることから非常に快適性が高い。しかし、やわらかいのでキズ、凹みなどができやすい。ただ、無垢フローリングの中では比較的価格が安い。
パイン(松)・・・針葉樹のパインは、温かみ、やわらかな足触り、節のある点などが杉と同じ。欧風のインテリアによく似合い、比較的安いのでよく使われる。
オーク・・・洋酒の樽や船の材料として使われてきたオークは、高い耐水性と耐久性が特徴。木目がはっきりと美しい。硬いので、傷の気になりにくい。
ウォルナット(くるみ)・・・欧米では古くから用いられている。ダークな光沢を帯びた質感は、日本でも非常に人気の高い樹種。弾性のある強靭な木質。
2つのタイプにはそれぞれメリットとデメリットがある
複合、無垢いずれのフローリング材にも、良い点と難点がある。主なものを以下に挙げる。
<複合フローリング>
メリットとしては、デザイン、色が豊富で好みのものを選びやすい。変形しにくく、メンテナンスもラクにできる。
デメリットは、表面の板が剥がれるようなキズや穴は補修が難しい。
<無垢フローリング>
メリットは、キズや浅い穴なら表面を削ることで比較的簡単に補修ができること。また、時間が経つにつれて木の色合いや感触が変わってくるため、使うほどに変化が楽しめる。
デメリットは、無垢の板であるため、小まめな手入れが必要。木の種類にもよるが、水分に弱いものも多い。また、虫食いにも遭いやすい。
耐用年数は、手入れによって変わる
一般的に、天然の木という素材の持つ特性から考えて、フローリングの耐用年数は10年から20年といわれている。しかし、これもきちんと手入れしているかどうかで変わっていく。
そして、穴やキズなどを放置していると、見た目が悪くなるだけでなく、知らないうちに劣化が進んでしまいやすい。よって、キズの浅いうちに補修すれば、フローリング自体の寿命は延ばすことができるのだ。
また、フローリングは虫食いの被害が発生することもある。最近の建築建材はホルムアルデヒドなど、人体に有害な化学物質を使用していないことが多い。そのため、無垢であろうと、複合フローリングであろうと、木材である限り、殺虫処理をしていないフローリング材は、虫食いが起こる可能性がある。
虫食いは、ほとんど「ヒラタキクイムシ」が原因となる。
よく見てみないとわかりにくいが、フローリングに直径数ミリ程度の極小の穴が空いていることがある。そういうときは、ヒラタキクイムシの虫食いが疑われる。虫食いらしい穴を見つけたら、細いノズルのついた殺虫剤を穴の中に注入する。そうすれば、ほとんどの場合は退治できる。そうして殺虫剤を入れた後、穴を塞げば虫食いの処理は完了だ。
DIYでの修理方法は2種類
小さな穴なら自分で直せるだろうと、少し手先の器用な人、DIY好きな人なら思うだろう。実際にほんの初期の穴程度なら、なんとかできるケースもある。
そんなDIY好きの人のために、修理用の簡単な道具やキットなどが、ホームセンターでも販売されている。
またインターネットでも購入することができる。そういうものを買い求めて直せば、簡単なものなら素人でも十分修理できることもあるだろう。次に補修用の道具と修理の手順を紹介しよう。
手軽な市販の補修材を使う
小さく浅い穴という程度なら、市販の補修材を使うのが手軽で便利だ。これなら、そんなに手先が器用でなくても、ゆっくり慎重にやれば、失敗はほとんどないだろう。
【道具と補修の方法】
クレヨン状のカラースティックセットがホームセンターやネットショップで販売されているので、それを使うと便利だ。
補修の手順
①フローリングの穴が浅く非常に小さい場合は、カラースティックの中からフローリングに近い色を塗るだけで良い。
②パッと見てわかる程の穴が空いている場合は、まずカラースティックの中からフローリングの色に合うものを選び、少し削って金属のスプーンなどに入れる。
③フローリングにぴったりの色がなければ、いくつかの色のスティックも少しずつ削って色を合わせる。
④スプーンの下から、ライターやコテなどで炙ってカラースティックを溶かす。十分溶けたら、フローリングの穴の中に垂らす。
⑤フローリングの穴が隠れるくらいになったら、1分ほど放置して固まるのを待つ。
⑥固まったら、ヘラや下敷きのようなもので、盛り上がっている表面を削る。
⑦表面が平らになったら完成。
使いやすいリペアキット
深めの穴の補修は、表面をきれいにする前に、穴の中に充填して埋めるものが必要になる。そういった少々手間のかかる補修にも対応しているのが、リペアキットだ。穴を埋める材料も含まれているので、まずしっかり穴を埋めてしまった後にフローリングの表面をきれいにし、見た目は穴があったとわからないようにできて便利だ。
【道具と補修の方法】
修理の方法を説明しよう。
①穴の回りに溶けたカラースティックが垂れないように、マスキングテープで養生する。
②パテを穴のサイズに合わせて切り、やわらかくするためにかきまぜてから、ピンセットなどで穴の中に隙間がないように埋め込む。
③パテが硬くなっていく間に、フローリングの色に合わせてカラースティックを選び、ぴったりの色がない場合は、何色か合わせて似た色をつくる。その次に、コテやホットナイフなどで溶かしてから、穴に埋める。
④スティックは1分弱で硬化するので、固まったら表面を平らに均す。
⑤さらにヘラなどで、表面を平らに仕上げる。
⑥木目が必要な場合は、キットの中にあるマーカーで書き足す。
DIYは無理をしないように注意
簡易キットなどを使ったDIYなら、比較的手軽にできて、それなりにきれいに補修できることも多い。単なる浅い穴ならそれで十分かもしれないが、穴がかなり深く空いていたり、放置していたため、中にゴミやホコリ、水分などが入りこんでいる場合は、そう簡単には補修ができない。
そういう判断は少々難しいが、長い間放置していた場合や、思いの外、穴が深かったときは、簡単に直しただけでは補修が完了していないケースもある。
そういったときにDIYだけで補修して終わりにしてしまわないよう見極めが大切だ。状況を冷静に判断して、ちょっと手に余りそうに思えるときはプロに補修を依頼する方が賢明である。
中途半端な素人の補修で完全に直っていないままにしておくと、知らないうちにフローリング材そのものに悪い影響を与えてしまい、結局は全体的なフローリングの貼り替えになる危険性もある。注意が必要だ。
業者修理の相場価格
フローリング修理・補修にかかる相場の価格は、フローリングの状態や材の種類にもよるが、一般的に2万~5万円というところだ。
最近は、時間制で区切って1日パックとして、キズや凹みを修理、補修してくれる業者も多く見られる。フローリングのダメージが多い場合は、そういうサービスを利用しても悪くない。
基本的に、1平方メートル当たりの単価で価格設定をしている業者が多いので、とりあえずは見積もりを取ることをおすすめする。ちなみに、1平方メートル当たりでは、1万円前後での施工が、相場価格になっている。
そして業者に依頼する場合、大きく分けてリペアとリフォームに分かれる。
リペアとリフォームの違いを確認しよう。
該当箇所の補修(リペア)
穴が空いた箇所のみ修復したい場合にはリペアが適している。穴が浅い場合は、色を合わせた補修材を塗って仕上げる。どこに穴が空いていたかぱっと見にはわからないくらいに補修が可能だ。
穴が深い場合は、充填剤を穴に埋めて、その後に色を合わせた補修材を塗って仕上げる。
張り替えであっても部分張替えに関しては、リフォームではなくリペアとなる。この部分的な補修は既存箇所と補修箇所とのギャップ埋めが必要となり、これは熟練した職人技と言える。
全床材の取り替え(リフォーム)
穴から水分が浸透してしまい、中や下地まで腐蝕が進んでいる場合や、全体的に表板がボロボロと剥がれてきたようなときは、その部屋のフローリングを全部取り替えることになる。
この全面張替えにも2つの方法があり、1つは既存のフローリングを全て剥がして新しいフローリング材を施工する「張替え工法」.もう一つは、既存フローリングの上から新しいフローリングを施工する「重ね張り工法」がある。
再発防止の方法
DIYにせよ、業者に依頼した場合にせよ、直ったからといって安心していては、また穴が空いてしまう可能性もある。また穴が空かないように、再発の防止をすることが大切だ。その方法としては、次のようなことをおすすめする。
カーペットなどでカバー
家族が過ごすリビングなどは、どうしてもフローリングに何か重いもの、尖ったものを落としたりして、穴を空けてしまう可能性が高い。そこで簡単でおすすめできるのが、カーペットを敷くことだ。
普段よくみんなが利用するスペースには、カーペットを敷いておくことによって、穴が空く危険性は抑えることができる。また、家具を引きずったりしてキズや凹みをつけてしまい、それが穴になることもあるので、家具の足などに予め緩衝材をつけておくのも良いだろう。
最近は、足に最初から緩衝材のついたソファや椅子なども売られているので、そういうものを購入するのも、フローリングの穴を防ぐ手立てとしては有効だろう。
穴の空きにくい材質の選択
柔らかな樹種のフローリングは、どうしても穴が空く可能性が高い。もし全部の床材を張り替えることになった場合、また同じようにならないためには、最初から穴の空きにくい材質を選ぶのも方法だ。
最近は、床の木材組織にプラスチックの樹脂を注入し、木自体を硬化させてキズや穴から守る加工を施した床材が出回っている。これなら、まったく穴が空かないとはいいきれないかもしれないが、比較的安心できる。
次にコルクを利用したフローリング材。コルクを心材に使った合板材。そもそも弾性に富んでいるコルクを合板の心材に使っているため、物を上から落としてもそれをコルクが吸収してくれる。
そのため、キズや凹みが抑えられる。それだけではなく、厚みが6mmと薄いため、今あるフローリングの上に設置できる。床表面をPVCコーティングしているので水に強い。心材がコルクなので歩き心地が良い。コルクは音を吸収する特性を持っているので静粛性があるなどの特長がある。
また、前で説明したようにフローリング材には、無垢と複合の二種類の床材があり、それぞれにウォルナットやナラなどの広葉樹を使ったフローリング床材がある。広葉樹の床材は、無垢も複合もいずれも比較的、キズや凹みに強いので、広葉樹の床材を選ぶのもいいだろう。
補修したフローリングの穴の再発を防ぐなら、以上のような方法がおすすめだ。
まずは実績豊富な専門業者へ相談を
フローリングの穴が空いてしまうと、酷い場合はどうしようもないことが多い。そういうときに、素人判断で、DIYで直してしまおうと考えると、結局は後でさらに大がかりな補修や、場合によっては、リフォームで全部の床材を取り替えることになるケースもある。
ちょっとしたことだからと安易に放置せず、不安があれば、実績の豊富な専門業者に相談することをおすすめする。
業者選びの際は、電話だけで簡単な見積もりを出すのみで、作業に取りかかるような業者ではなく、きちんと現場を確認してくれる業者を選びたい。
またちゃんとした見積もりを出してくれ、出された金額の根拠が納得できる業者に依頼したい。それが後悔しない業者選びのコツだろう。
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